新しいタイプの商標の審査状況について

2015年10月27日(火)付の経済産業省のニュースリリースにおいて新しいタイプの商標の登録事例が掲載されています。

音の商標ではCMでおなじみの2015-29806「HISAMITSU」や、2015-29889「ビオレ」が、動く商標では、映画が始まる直前にながれる東宝さんの映像などが登録されています。

詳細は、下のリンクからご確認下さい。
http://www.meti.go.jp/press/2015/10/20151027004/20151027004-1.pdf

位置商標とは

位置商標とは位置商標とは、「文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標」の事をいいます。外国での登録例を挙げると、アディダス社のスニーカーでよく見かける三本ストライプや、レノボ社の「ThinkPad」シリーズのキーボードの赤い操作ボタンなどがあります。

位置商標について、商標登録を受けようとする場合は、商標記載欄に、一又は異なる二以上の図又は写真によって、商標登録を受けようとする商標に係る標章を実線で描き、その他の部分を破線で描く等により、標章及びそれを付する位置が特定されるように記載する必要があります。また、商標記載欄の下に【位置商標】と商標のタイプについて記載をする必要があります。位置商標を出願する場合には、商標のタイプの記載の下に【商標の詳細な説明】の欄を設け、位置商標を構成する標章(文字、図形等)の説明と、この標章を付する商品等における位置(部位の名称等)についての具体的かつ明確な説明を記載する必要があります。

なお、商標記載欄に商標登録を受けようとする商標に係る標章及びそれを付する位置を特定するための線等を記載した場合には、その記載によりどのように標章及びそれを付する位置が特定されるのかについても記載する必要があります。

色彩のみからなる商標

色彩のみからなる商標とは、「単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標(これまでのような図形等と色彩が結合したものではない商標)」をいいます。外国での登録事例をみると、トンボ鉛筆様の「MONO」の青・白・黒の三色ボーダーの色彩、セブン-イレブン様のオレンジ・緑・赤の三色ボーダーの色彩などが商標登録されています。
色彩のみからなる商標の商標記載欄については、「【1】商標登録を受けようとする色彩がなるべく全体にわたり表示された図又は写真によって記載する」、又は、「【2】一又は異なる二以上の図又は写真によって、商標登録を受けようとする色彩を当該色彩のみで描き、その他の部分を破線で描く等により、当該色彩及びそれを付する位置が特定されるように記載する。」のいずれかの方法により商標が特定できるようにする必要があります。
色彩のみからなる商標を出願する場合には、出願の際に、商標記載欄の下に【色彩のみからなる商標】と記載する必要があります。また、商標のタイプの記載の下に【商標の詳細な説明】の欄を設け、色彩を特定するための色彩名、三原色(RGB)の配合率、色見本帳の番号、色彩の組合せ方(色彩を組み合わせた場合の各色の配置や割合等)等について記載します。

また、色彩を付する位置を特定する場合には、色彩を付する商品等における位置(部位の名称等)についての具体的かつ明確な説明についても記載する必要があります。なお、商標記載欄に色彩を付する位置を特定するための線、点その他のものを記載した場合には、その記載によりどのように当該色彩及びそれを付する位置が特定されるのかについても記載する必要があります。

音商標

音商標とは、「音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標」のことを言います。例えば、CMなどに使われるサウンドロゴやパソコンの起動音などについて、商標登録を受けたい場合は、音商標として登録を受けることになります。外国の登録事例では、久光製薬さんのCMの最後などでよく耳にする「ヒサミツ♪」などが登録されています。
音商標の商標記載欄への記載は、文字若しくは五線譜又はこれらの組み合わせを用いて、商標登録を受けようとする音を特定するために必要な事項を記載する必要があります。
 また、商標記載欄の下に【音商標】と商標のタイプを記載する必要があります。音商標を出願する場合は、商標の詳細な説明の欄の記載は、任意であり、特に記載する必要はありません。音商標を出願する場合には、商標登録を受けようとする商標を記録した、光ディスク(CD-R又はDVD-R)の提出が義務付けられています。音商標をオンライン手続で出願する場合は、商標登録願のみオンラインで提出し、オンライン手続をした日から3日以内に、商標登録を受けようとする商標を記録した光ディスクを添付した「手続補足書」を書面で提出する必要があります。
光ディスクへの記録方式については、「商標法施行規則の規定に基づく光ディスクへの記録方式を定める告示(特許庁告示第5号)」で定められています。

ホログラム商標

ホログラム商標とは、「文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標」のことです。例えば、見る角度によって変化して見える文字や図形などがあります。
ホログラム商標について、商標登録を受けたい場合は、一又は異なる二以上の図又は写真によって、ホログラフィーその他の方法により商標の変化の前後の状態が特定されるように、商標記載欄に記載します。
また、ホログラム商標を出願する場合には、出願の際の意思表示として、商標記載欄の下に【ホログラム商標】と記載する必要があります。さらに、ホログラム商標を出願する場合には、商標のタイプの記載の下に【商標の詳細な説明】の欄を設け、ホログラム商標を構成する標章(文字、図形等)の説明と、ホログラフィーその他の方法による視覚効果(立体的に描写される効果、光の反射により輝いて見える効果、見る角度により別の表示面が見える効果など。)による標章の変化の状態についての具体的かつ明確な説明を記載する必要があります。なお、商標記載欄に商標の変化の前後の状態を特定するための指示線、符号又は文字を記載した場合には、その記載によりどのように商標の変化の前後の状態が特定されるのかについても記載する必要があります。

動き商標について

特許法等の一部を改正する法律(平成26年5月14日法律第36号)により、商標法が改正され、色彩のみからなる商標、音商標、動き商標、位置商標、ホログラム商標のこれまで商標として登録し保護することができなかった5つのタイプの商標について登録をすることができるようになります。上記の法律の施行日は、平成27年4月1日ですので、新しいタイプの商標は平成27年4月1日から出願できることになります。

ここでは、「動き商標」について解説致します。動き商標とは、「文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標」のことです。具体的には、「テレビやコンピューター画面等に映し出される変化する文字や図形など」があります。
 既に動き商標が導入されている国では、「馬が左から右に疾走する動き」や、「車のドアの開く動き」等が登録されています。

出願の際には、動き商標の商標記載欄への記載は、一又は異なる二以上の図又は写真によって、時間の経過に伴う商標の変化の状態が特定されるように記載する必要があります。また、商標記載欄の下に【動き商標】というように商標のタイプを記載する必要があります。さらに、商標のタイプの記載の下に【商標の詳細な説明】の欄を設け、この欄に、動き商標を構成する標章(文字、図形等)の説明と、時間経過に伴う標章の変化の状態(変化の順番、全体の所要時間等)についての具体的かつ明確な説明を記載する必要があります。なお、商標記載欄に商標の変化の状態を特定するための指示線、符号又は文字を記載した場合には、その記載によりどのように商標の変化の状態が特定されるのかについても記載する必要があります。

立体商標とは

1.立体商標とは立体商標とは、立体的形状のみ、または立体的形状と平面標章との結合により構成される商標をいいます。そして、立体的形状のみからなる立体商標は純立体商標と、立体的形状に平面商標を結合させてなる立体商標は平面商標付立体商標と一般的に言われています。

不二家のペコちゃんや、ケンタッキーのカーネルサンダースの人形はみなさんご覧になったことがあるかと思いますが、このように立体的な形状が商標としての機能を発揮することがあるので登録を認めて保護をするというのがこの立体商標制度なのです。商標権は半永久的な権利になるので、立体商標には3条1項3号や4条1項18号などの登録要件を満たすことが必要になってきます。

2.立体商標の登録に関する基本的な考え方まず、商標登録が認められるか否かの判断にあたっては、当該商品の形状等が同種商品との関係において識別力を有するか否かが問題となります。 例えば、ごくごく一般的な透明なガラスのコップを立体商標として出願した場合は、コップの立体的形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として拒絶される(3条1項3号)か、又はきわめて簡単かつ、ありふれた形状であるとして(3条1項5号)で拒絶されます。

前述したように3条1項各号に該当しても、3条2項の適用を受けて登録が受けられる場合がありますが、たとえ3条2項に該当しても、商品又は商品の包装の形状であって、その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標に該当する場合は4条1項18号を理由として登録を受けることができません。 このようにいろいろと条件が課される為、あまりまだ活用されていないというのが現状です。

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