労務リスクマネジメントの重要性

コンプライアンス(法令遵守)が強く求められている現代は、コンプライアンス倒産という言葉もできるほど、企業経営におけるリスクがより高まっています。リスクを未然に防いだり、低減させるための対策を行っておくことは、「従業員の管理(労務)」においても重要な課題となってきています。

重大な労務リスク例■ 「サービス残業」や「管理職への残業手当未払い」
■ 解雇
■ 給与・退職金の引き下げ
■ セクハラ・パワハラ
■ 企業秘密の漏えいや内部告発
■ 心の病・休職者の増加
■ 個別労使紛争の増加
■ 監督署の指導(是正勧告)

是正勧告とは

是正勧告とは労働基準監督署は、会社に対し労働基準法などの労働関係法令がきちんと守られているかどうかの調査を実施しています。この調査の結果、労働関係法令に違反している事項があった場合にその違反事項を改善させるために「是正勧告」と呼ばれる指導を行います。

この調査は、労働基準監督署に勤務している労働基準監督官が行います。労働基準監督官には、強制捜査・事情聴取・証拠品の押収など、特別司法警察職員としての権限が与えられており、悪質な法律違反や重大な労災事故があった場合には送検手続きをとられてしまいます。近年は、有名な大企業が、残業代未払いや過労死、解雇などの問題でメディアに取り上げられることも多くなってきていります。

労働基準監督署の調査の種類1.定期監督
労働基準監督署は、その年度に策定される行政方針に基づいて、管轄内にある重要な業種や重要調査事項を定めて監督を行っています。わかりやすく言えば、「今年は飲食業」を調査しよう!」といったことや、「最近法律が変わったから、今回は全業種まんべんなく、最低賃金が守られているかどうかを重点的にチェックしよう!」といったもので、これを定期監督といいます。

2.申告監督
俗に言う内部リークです。従業員が「残業代を払ってもらえない」「不当解雇された」などの理由により、労働基準監督署にかけこんだときに、その実態を確かめるために行う調査です。実際には、情報を提供した従業員が誰であるか分からないようにするために、1の定期監督を装って調査をする場合もあります。

3.災害時監督
一定規模以上の労働災害が発生した場合、その実態を確認するために調査が行われます。災害原因の究明や再発防止の指導を主目的としており、労働安全衛生法や労災保険法に関する項目が厳しくチェックされます。また、上記2と同じように、会社が労災の手続を行わず、従業員が監督署へかけこんだことにより、実態調査として行われることもあります。悪質・故意の違反が認められた場合、業務停止命令が出されることもあります。

4.再監督
「過去に是正勧告を受けたにも関わらず、指定期日までに是正報告書が提出されない場合」「会社の対応が悪質・故意であるとみなされた場合」などに行われる再調査のことです。一度目の調査よりも厳しい目で見られることとなります。

是正勧告を受けて初めて、法律や社会規範を考慮した上での労務管理が必要なことを認識されるケースも多いのですが、是正勧告を受けてしまってからでは遅いのです。全く指導事項がないということは、ほとんどありませんが、労働基準監督官の指導による経営への悪影響は出来るだけ避けたいものです。

「労務管理の改善」は、労務リスクの軽減や従業員の意欲向上に役立ち、結果として「業績の向上」につながります。

当事務所では、専門家としてのノウハウを提供し、是正勧告を受けた場合、また従業員とトラブルになった場合でも、より経営への影響を抑えられるよう「労務管理の改善・社内環境づくり」のお手伝いをしております。

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